‘湯治’って何ですか?
湯治と普通の宿泊とどう違うの?
泊まるだけで、食事はついてないんですよね?
ところで、これ、なんて読むの?
お客さまから頂いた質問の一部です。
ちなみに’とうじ’と読みます。
今、’湯治’という文化が忘れ去られようとしているのかも。
もちろん、湯治がその中心である、栃尾又温泉においては、
そんなことはありませんけれど。
さて、湯治とはなんぞや?
社会環境が昔とはかなり変わった現在、
私たちも今一度考えてみました。
湯治とは、
医療技術が十分に発達していなかった時代に、
病気の回復や術後の静養のために
いいと伝え聞いた効能を期待して温泉に浸かったり、
飲泉したりしたのが始まり、のようです。
特に地方ではすぐに医者にかかることなどできなかったでしょうから、
医者にかかる代わりに湯治に来た、
そんなことも少なくなかったでしょう。
そんな時代の’湯治’は、’体を治す’のが、主たる目的でした。
今現在もちろん、それは変わっていません。
でも、
ちょっと違う意味で湯治に来る方が増えたような気がする。
どこも悪くないんけど、仕事も大変だし、
やることも多いし、責任も重いし、
なんだかすごーーっく疲れちゃった。
ここらでちょっと自分を休めないと、やる気も起きないよなぁ、
いわば、
体が悪くなる前に、
心が疲れ切る前に、
そうなる前に’予防’する。
そうなる前に栃尾又に’湯治’に来る。
栃尾又温泉は、実は古くから
この’予防’のための温泉としても知られてきました。
昔は、田植えが始まる数か月前に
体作りのために湯治に来て、そして元気で働く。
そして、
農作業の終わった後には、
体をメンテナンスするために湯治に来たのです。
怪我をしないように、風邪をひかない様に、
病気にならない様に、
そのために入る温泉。それが予防の温泉です。
それはきっと
体にも、心にも
言えることなのかもしれませんね。
湯治の持つ意味は、時代とともに少し変化します。
ただ温泉に入ることだけでなく、
魚沼野菜がたっぷりのお料理を食べる。
目にまぶしすぎる新緑や雪景色や自然を感じる。
まるで自分の部屋にいるような部屋で気兼ねなく過ごす。
一日中マンガ読んでたっていいじゃない、
だらだらしてたっていいじゃない、
二度寝しちゃったていいじゃない、
自分のペースで、でも
きちんと決まった時間に食事をして温泉にもはいる。
規則正しい生活をする。
そんなことがきっと、
自分メンテナンスに大きく関わってくるんじゃないかな、って、
思います。
今、宝巌堂では各種プランを改造計画中です。
湯治という名称からイメージされる、
今ではちょっとわかりにくいのかも?な感覚を
なんとか払拭できないかなぁと悩み中です。
湯治って、でも書いて字のごとく、
‘湯’で’治す’んだけどね。
いい言葉だなぁ、と、改めて。