20年以上通ってくだっている、
常連のご婦人がいらっしゃいます。
20年以上って23、4年ではない、
’あなたたちが帰ってくる前からずっと来ているわ’
って!
きっと30年以上だ!
栃尾又の大先輩です。
服飾関係のその方は
もちろん、裁縫、針仕事はお手のもの。
昨年、もう着る機会もないから、と言って、
ほとんど着ていないというワンピースを私にくださいました。
それがまたとっても素敵!
しわにもならず、ゆったりしてて、とても着やすい。
そしてね、間違いなくおしゃれ上級者に見える。
お客さまと私の体形はほぼ一緒、なので、もちろん、サイズはぴったり。
色までまるで、あつらえたみたいです。
季節が変わり、
’女将さんのサイズを測らせてー’と、
私の3サイズを測って帰られました。
そして
なんと、
麻のパンツと、
着物をリメイクしたシャツを作ってきてくださったんです!
可愛くて、とっても涼しい!
パンツは後ろと前とどちらでも履けるという優れものです。
いったいどういうふうになってんの?
裁縫オンチの私にははてなマークが山のようです!
それが昨年の今頃。
でね、今年!
またまた素敵なお品を頂戴したんです!!
それがこの、着物地のワンピース。
え?これ着物ですか?
しかも木綿、だというのです。
でもとても木綿には見えない。
ちょっと麻でも入っているかのような風合いで、
柄の部分がシルクのような光沢も見える。
よくよく見ればこれは日本の伝統柄、
麻の葉です。
麻の葉は成長が早くてまっすぐに成長していくので、
昔から子供の健やかな成長の願いを込めて
産着によく使われています。
またもう一つ、魔除けの意味もあるんですって。
我がスタッフもお裁縫得意班が2人います。
出来る人が見ればなおさらこの仕上げの細かさ、丁寧さが
よくわかるみたい。
’じゃぶじゃぶ洗ってどんどん来てね。
女将さんはいつも割烹着を着ているから
このワンピースを夏の仕事着にしてね、
この上に割烹着を着ればばっちりよ!’
えーー!!!
もったいなさ過ぎるよーーー!
よそゆきですよぉー。
でも、
袂の部分の生地が余ったので、と、
なんとエプロンまで作ってくださったんです。
綿100%は伸縮性がありません。
なので動きやすいように背中にダーツまで入っています。
麻の葉の柄も合ってるー。
ところで
帰りがけにいろんなお話に花が咲きました。
デザインのこと、
古いものは大事、ということ、
着物をリメイクするときは、
いかに洋服として仕立てるかが重要。
いかにも着物です、というものは作らない、
などなど。
そこで話してくださったことは、
ご自身より年上の’先生’のことです。
先生のお宅へご友人と二人で行こうとお伺いを立てたら、
その返答は、
’1週間待っててね’、と。
不思議に思ったけど、
1週間後、出向いたら、なんと、
6枚のTシャツに刺繍がしてあり、
プレゼントしてくださったんですって。
一人1枚ならまだしも、一人3枚ですよ!
彼女は刺繍の先生で、
なんと御年90才。
お年も素晴らしいけれど、
なによりも、その心意気がすごい、と
私も感動しました。
そして、常連のご婦人曰く、
’その時に思ったの、これからは
私も何か人に喜ばれるようなことをしようって’。
そんな熱い思いがきっと
このワンピースにも込められているのです。
大事に着ます。
でも、たくさん着ます。
気に入ったものはとことんです。
私も熱い思いを伝えます。
楽しみな夏。
ありがとうございます。